弁護士報酬等基準規程
2021年1月31日
北松戸ファミリオ法律事務所
第1章 総則
第1条(目的)
この規程は、弁護士職務基本規程24条に基づき、当事務所において弁護士が職務を行うに際しての報酬等に関する基準を示すことを目的とする。
第2条(個別契約による修正)
依頼等を受けた事件等について、弁護士は、依頼の目的を達成することについての見通し、依頼者の経済的事情、事件等の重大さ、複雑さその他の事情を考慮し、依頼者と協議の上、報酬額を本規程において定める報酬基準額から適正妥当な範囲内で増減して定めることができる。
第3条(弁護士報酬の種類)
2 法律相談料は、依頼者に対して行う法律相談(口頭による鑑定、電話やインターネットによる会議システムによる相談を含む。)の対価をいう。
3 書面による鑑定料は、依頼者に対して行う書面による法律上の判断叉は意見の表明の対価をいう。
4 着手金は、事件叉は法律事務(以下「事件等」という。)の性質上、委任事務処理の結果に成功不成功のあるものについて、その結果のいかんにかかわらず受任時に受けるべき委任事務処理の対価をいう。
5 報酬金は、事件等の性質上、委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて、その成功の程度に応じて受ける委任事務処理費用の対価をいう。
6 手数料は、原則として一回程度の手続叉は委任事務処理で終了する事件等についての委任事務処理の対価をいう。
7 顧問料は、契約によって継続的に行う一定の法律事務の対価をいう。
8 日当は、弁護士が委任事務処理のために事務所所在地を離れ、その事件等のために拘束されることの対価をいう。
第4条(弁護士報酬の支払時期及び支払にかかる費用)
2 報酬金は、事件等の処理が終了したときに、その支払いを受ける。
3 着手金及び報酬金を除くその他の弁護士報酬は、依頼者との協議により定められたときに支払いを受ける。ただしこの報酬基準規程に特に定めがある場合には、その規程に従い支払いを受ける。
4 弁護士報酬の支払にかかる費用は、依頼者の負担とする。
第5条(事件等の個数)
弁護士報酬は、一件ごとに定めるものとし、裁判上の事件は審級ごとに、裁判外の事件等は当該依頼を受けた事務の範囲をもって一件とする。ただし、民事事件及び家事事件等について、引き続き上訴審を受任したときの報酬金については、特に定めのない限り、最終審の報酬金のみを受ける。
2 裁判外の事件等が裁判上の事件に移行したときは、別件とする。
第6条(弁護士の説明義務等)
弁護士は依頼者に対し、弁護士報酬及びその他の費用について、あらかじめ十分に説明しなければならない。
2 弁護士は、法律事務を依頼しようとする者から申出があったときは、その法律事務の内容に応じた報酬見積書を作成し交付するよう努めるものとする。
3 弁護士は事件等を受任したときは、委任契約書を作成する。
4 委任契約書には、受任する法律事務の表示及び範囲、弁護士報酬等の種類、金額、算定方法及び支払時期並びに委任契約が中途で終了した場合の清算方法その他の特約事項を記載する。
5 特段の事情により第3項の委任契約書を作成しない場合、弁護士は依頼者に対し、弁護士報酬等の種類、金額、算定方法及び支払時期等に関する事項を記載した弁護士報酬説明書を作成し交付する。
第7条(事情変更等による弁護士費用の増額)
依頼を受けた事件等につき、受任後特に重大若しくは複雑な事情があること、又は審理若しくは処理が著しく長期にわたることが明らかとなった場合で、本報酬規程の定めによっては弁護士報酬の適正妥当な額が算定できない場合、弁護士は依頼者と協議の上、弁護士報酬の額を適正妥当な範囲内で増額することができる。
第8条(消費税に相当する額)
この報酬基準に定める額は、消費税法(昭和63年法律第108号)に基づき、弁護士の役務に対して課せられる消費税の額に相当する額を含まない。
第2章 法律相談料等
第9条 法律相談料等
法律相談料は40分ごとに5000円とする。ただし依頼者が当事務所において初めて法律相談を受ける場合、その法律相談料は80分ごとに5000円とする。
第10条 書面による鑑定料
書面による鑑定料は、一鑑定事項について10万円以上30万円以下とする。
第3章 時間制
第11条 時間制
弁護士は、依頼者との協議により、受任する事件等に関し、本報酬規程における着手金及び報酬金、手数料及び日当の定めにかかわらず、30分当たりの適正妥当な委任事務処理単価にその処理に要した時間(移動に要する時間を含む。)を乗じた額を、弁護士報酬として受けることができる。この場合、あらかじめ依頼者から相当額を預かることができる。
2 前項の単価は原則として30分5000円以上とし、具体的な単価の設定にあたっては、事案の困難性、重大性、特殊性、新規性及び弁護士の熟練度等を考慮するものとする。
第4章 顧問料
第12条 顧問料
事業者を依頼者とする顧問料は、原則として月額5万円以上とする。ただし事業の規模及び内容等を考慮し、その額を減額することができる。
2 非事業者を依頼者とする顧問料は、原則として月額5000円以上とする。
第5章 着手金及び報酬金
第1節 民事事件・家事事件・行政事件等の着手金及び報酬金
第13条(算定基準)
本節の着手金は、本報酬規程に特に定めのない限り、事件等の対象の経済的利益の額を基準として算定する。
2 本節の報酬金は、本報酬規程の特に定めのない限り、委任事務処理により確保した経済的利益の額を基準として算定する。
第14条(経済的利益)
前条の経済的利益の額は、本報酬規程に特に定めのない限り、次のとおりとする。
一 金銭債権は、債権総額(利息及び遅延損害金を含む。)
二 将来の債権は、債権金額から中間利息を控除した額
三 継続的給付債権は、債権総額の10分の7の額。ただし期間不定のものは、7年分の額
四 賃料増減請求権は、増減額分の7年分の額
五 所有権は、対象たる物の時価相当額
六 占有権、地上権、永小作権、賃借権及び使用借権は、対象たる物の時価の2分の1の額。ただし、その権利の時価が対象たる物の時価の2分の1の額を超えるときは、その権利の時価相当額。
七 建物についての所有権は、建物の時価相当額に、その敷地の時価の3分の1の額を加算した額。建物についての占有権、賃借権及び使用借権は、前号の額にその敷地の時価の3分の1の額を加算した額。
八 地役権は、承役地の時価の2分の1の額
九 担保権は、被担保債権額。ただし、担保物の時価が債権額に達しないときは、担保権の時価相当額
十 不動産についての登記手続請求権は、第五号ないし前号に準じた額
十一 詐害行為取消請求権は、取消請求債権額。ただし、取り消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは、法律行為の目的の価額
十二 共有物分割請求権は、対象となる持分の時価の2分の1の額。ただし、分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分については、争いの対象となる財産又は持分の額
十三 遺産分割請求権は、対象となる相続分の時価相当額。ただし、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の2分の1の額
十四 遺留分減殺請求権(遺留分侵害額請求権)は、対象となる遺留分の時価相当額
十五 金銭債権についての民事執行事件は、請求債権額。ただし、執行対象物件の時価が債権額に達しないときは、第一号の規定にかかわらず、執行対象物件の時価相当額(担保権設定、仮差押等の負担があるときは、その負担を考慮した時価相当額)。
第15条(算定の特則)
2 前条で算定された経済的利益の額が、次の各号の一に該当するときは、経済的利益の額を、紛争の実態又は依頼者の受ける経済的利益の額に相応するまで増額することができる。
一 請求の目的が解決すべき紛争の一部であるため、前条で算定された経済的利益の額が紛争の実態に比して明らかに小さいとき。
二 紛争の解決により依頼者の受ける実質的な利益が、前条で算定された経済的利益の額に比して明らかに大きいとき。
第16条(算定不能の場合)
第14条により経済的利益の額を算定することができないときは、その額を800万円とする。ただし、弁護士は依頼者と協議の上、事件等の難易、軽重、手続の繁閑及び依頼者の受ける利益等を考慮して増額又は減額をすることができる。
第17条(民事事件等の着手金及び報酬金)
民事訴訟事件、非訟事件、家事審判事件、行政事件及び仲裁事件の着手金及び報酬金は、本報酬基準規程に特に定めのない限り、経済的利益の額を基準として、それぞれ次表のとおり算定する。ただし、着手金の最低額は10万円とし、着手金及び報酬金は事件の内容により、30%の範囲で増額又は減額することができる。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下の場合 | 8% | 16% |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円を超える場合 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
第18条(調停事件及び示談交渉事件)
調停事件及び示談交渉(裁判外の和解交渉をいう、以下同じ。)事件の着手金及び報酬金は、本報酬基準規程に特に定めのない限り、前条の規定を準用する。ただし、前条の規定を準用して算定された額の3分の2に減額することができる。
2 示談交渉から調停事件を受任する場合、及び示談交渉又は調停事件から訴訟その他の事件を受任する場合、その着手金は前条の規定により算出した額の2分の1とする。
第19条(契約締結交渉)
示談交渉事件を除く契約締結交渉の着手金及び報酬金は、経済的利益の額を基準として、次表のとおり算出する。ただし、着手金の最低額は10万円とし、着手金及び報酬金は事件の内容により、30%の範囲で増額又は減額することができる。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下の場合 | 2% | 4% |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 1%+3万円 | 2%+6万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 0.5%+18万円 | 1%+36万円 |
3億円を超える場合 | 0.3%+78万円 | 0.6%+156万円 |
第20条(督促手続事件)
督促手続事件の着手金及び報酬金は、本報酬基準規程に特に定めのない限り、前条の規定を準用する。ただし、着手金の最低額は5万円とし、報酬金は金銭等の具体的な回収をしたときでなければ、弁護士はこれを請求しない。
第21条(手形・小切手訴訟事件)
手形・小切手訴訟事件の着手金及び報酬金は、経済的利益の額を基準として、本報酬基準規程に特に定めのない限り、第17条の規定を準用して算定された額の2分の1とする。ただし、着手金の最低額は5万円とし、着手金及び報酬金は事件の内容により、30%の範囲で増額又は減額することができる。
第22条(離婚事件)
離婚調停事件及び離婚交渉事件の着手金及び報酬金は、20万円から50万円の範囲内の額とする。ただし、離婚交渉から離婚調停を受任する場合の着手金は、上記の範囲内の額の2分の1とする。
2 離婚訴訟事件の着手金及び報酬金は、30万円から60万円の範囲内の額とする。ただし、離婚調停から離婚訴訟を受任する場合の着手金は、上記の範囲内の額の2分の1とする。
3 前2条に定める額は、依頼者の経済的資力、事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁閑等を考慮して増額又は減額することができ、財産分与、慰謝料等の財産上の給付請求を伴う場合は、財産上の給付請求の実質的な経済的利益の額を基準として第17条又は第18条の規定により算定された着手金及び報酬金の額以下の適正妥当な額を加算して請求することができる。
第23条(境界に関する事件)
境界に関する事件の着手金及び報酬金は、30万円から60万円の範囲内の額とし、依頼者の経済的資力、事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁閑等を考慮して増額又は減額することができるものとする。ただし、第17条の規定により算定された着手金及び報酬金の額が上記範囲内の額を超える場合には、それによる。
第24条(借地非訟事件)
借地非訟事件の着手金は、借地権の額を基準として、次表のとおり算出する。
借地権の額 | 着手金 |
5000万円以下の場合 | 20万円から50万円の範囲内の額 |
5000万円を超える場合 | 前段の額に5000万円を超える部分の0.5%を加算した額 |
2 借地非訟事件の報酬金は、次のとおりとする。ただし、弁護士は、依頼者と協議のうえ、報酬金の額を、事件の内容により適正妥当な範囲内で増額又は減額することができる。
一 申立人については、申立てが認められたときは借地権の2分の1を、相手方の介入権が認められたときは財産上の給付額の2分の1を、それぞれ経済的利益の額として、第17条の規定により算定された額
二 相手方については、その申立てが却下されたとき又は介入権が認められたときは財産上の給付額の2分の1を、賃料の増額又は財産上の給付が認められたときは、賃料増額分の7年分又は財産上の給付額をそれぞれ経済的利益として、第17条の規定により算定された額
第25条(民事保全事件等)
仮差押及び仮処分の各命令申立事件及び保全執行事件(以下「保全命令申立事件等」という。)の着手金は、第17条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし、審尋又は口頭弁論を経たときは、同条に規定により算定された額の3分の2とし。着手金の最低額は10万円とする。
2 保全命令申立事件等の報酬金は、次のとおりとする。
一 本案の目的を達したときは、第17条の規定により算定された額に準ずる額
二 審尋又は口頭弁論を経たときは、第17条の規定により算定された額の3分の1の額
三 事件が重大又は複雑なときは、第17条の規定により算定された額の4分の1の額
3 保全命令申立事件等の着手金及び報酬金は、本案事件と併せて受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。
第26条(民事執行事件等)
民事執行事件の着手金は、第17条の規定により算定された額の2分の1とする。
2 民事執行事件の報酬金は、第17条の規定により算定された額の4分の1とする。
3 民事執行事件の着手金及び報酬金は、本案事件と併せて受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。ただし着手金は第17条の規定により算定された額の3分の1とする。
4 執行停止事件の着手金は、第17条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし、本案事件と併せて受任した時は、前項但書の規定を準用する。
5 前項の事件が重大又は複雑なときは、第17条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。
6 民事執行事件及び執行停止事件の着手金の最低額は、5万円とする。
第27条(倒産整理事件等)
破産、会社整理、特別清算及び会社更生の各事件の着手金は、資本金、資産及び負債の額、関係人の額等事件の規模並びに委任事務処理の量に応じて定めるものとし、その基準額は次のとおりとする。ただし、これらの事件に関する保全事件の弁護士報酬は着手金に含まれるものとする。
一 事業者の自己破産事件 | 50万円以上 |
二 非事業者の自己破産事件 | 20万円以上 |
三 自己破産以外の破産事件 | 50万円以上 |
四 会社整理事件 | 100万円以上 |
五 特別清算事件 | 100万円以上 |
六 会社更生事件 | 200万円以上 |
2 前項第一号及び第二号の事件は、受領した着手金の額を限度として報酬金を受けることができる。ただし、依頼者が免責決定を受けたときに限る。
3 第1項第三号ないし第六号の各事件の報酬金は、第17条の規定を準用して算定する。この場合の経済的利益の額は、配当試算、免除債権額、延払いによる利益、企業継続による利益等を考慮して算定するものとする。
4 自己破産申立事件を受けないで免責申立事件(免責異議申立事件を含む。)のみを受任した場合、着手金は第1項二号の規定により算定された額の2分の1とする。この場合の報酬金は前項の規定を準用する。
第28条(民事再生事件)
民事再生事件の着手金は、資本金、資産及び負債の額、関係人の数等、事件の規模並びに委任事務処理の量に応じて定めるものとし、その基準額は次のとおりとする。ただし、これらの事件に関する保全事件の弁護士報酬は着手金に含まれるものとする。
一 事業者の民事再生事件 | 100万円以上 |
二 非事業者の民事再生事件 | 30万円以上 |
三 小規模個人再生及び給与所得者等再生事件 | 20万円以上 |
2 弁護士は、再生手続開始決定を受けた後民事再生手続が終了するまでの執務の対価として、依頼者との協議により、執務量及び着手金又は報酬金の額を考慮した上で、月額で定める執務報酬を受けることができる。
3 民事再生事件の報酬金は、第17条の規定を準用して算定するものとし、この場合の経済的利益の額は、弁済額、免除債権額、延払いによる利益、企業継続による利益、及び前項により定められた執務報酬の額を考慮して定めるものとする。ただし、弁護士は再生計画認可決定を受けたときに限り、報酬金を請求することができる。
4 民事再生法第235条に基づく免責申立事件(免責異議申立事件を含む。)の着手金は、第1項三号の規定により算定された額の2分の1とする。この場合の報酬金は前項の規定を準用する。
第29条(任意整理事件)
任意整理事件(第27条1項及び前条1項に該当しない債務整理事件をいう。)の着手金は、資本金、資産及び負債の額並びに関係人の額等事件の規模に応じて定めるものとし、その基準額は次のとおりとする。
一 事業者の任意整理事件 50万円以上
二 非事業者の任意整理事件 20万円以上
2 前項の事件が清算により終了した場合、弁護士の報酬金は、債務の弁済に供すべき金員又は代物弁済に供すべき資産の価額(以下「配当原資額」という。)を基準として、次の各号の表のとおり算定する。
一 弁護士が債権取立て、資産売却等により集めた配当原資額について
500万円以下の場合 | 15% |
500万円を超え1000万円以下の場合 | 10%+25万円 |
1000万円を超え5000万円以下の場合 | 8%+45万円 |
5000万円を超え1億円以下の場合 | 6%+145万円 |
1億円を超える場合 | 5%+245万円 |
二 依頼者及び依頼者に準ずる者から任意提供を受けた配当原資額について
5000万円以下の場合 | 3% |
5000万円を超え1億円以下の場合 | 2%+50万円 |
1億円を超える場合 | 1%+150万円 |
3 第1項の事件が債務の減免、履行期限の猶予又は企業継続等により終了した場合、弁護士の報酬金は、第17条の規定を準用する。この場合の経済的利益の額は、配当額、配当資産、免除債権額、延払いによる利益及び企業継続による利益等を考慮して算定するものとする。
4 第1項の事件の処理について、裁判上の手続を要したときは、前2項に定めるほか、本節の規定により算定された報酬金を受けることができる。
第30条(行政上の不服申立事件)
行政上の異議申立て、審査請求、再審査請求その他の不服申立て事件の着手金は、第17条の規定により算定された額の3分の2とし、報酬金は、同条の規定により算出された額の2分の1とする。ただし、審尋又は口頭審理等を経たときは、同条の規定を準用する。
2 前項の規定の着手金は、5万円を最低額とする。
第2節 刑事事件・少年事件の着手金及び報酬金
第31条(刑事事件の着手金)
刑事事件の着手金は、次表のとおりとする。
刑事事件の内容 | 着手金 |
起訴前及び起訴後(第一審及び上訴審をいう。以下同じ。)の事案簡明な事件 | 20万円以上50万円以下 |
起訴前及び起訴後の事件で前段の以外のもの及び再審事件 | 30万円以上 |
再審請求事件 | 30万円以上 |
2 前項の事案簡明な事件とは、特段の事件の複雑さ、困難さ又は煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力又は時間を要しないと見込まれる事件であって、起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公判終結までの公判開廷数が2ないし3開廷程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く。)、上告審は事実関係に争いのない情状事件をいう。
第32条(刑事事件の報酬金)
刑事事件の報酬金は、次表のとおりとする。
刑事事件の内容 | 結果 | 報酬金 | |
刑事事件 | 起訴前 | 不起訴 | 20万円以上50万円以下の範囲内の額 |
求略式命令 | 前段の額を超えない額 | ||
起訴後 | 刑の執行猶予 | 20万円以上50万円以下の範囲内の額 | |
求刑された刑が軽減された場合 | 軽減の程度による相当額 | ||
検察官上訴が棄却された場合 | 20万円以上50万円以下の範囲内の額 | ||
無罪 | 50万円以上 | ||
再審請求事件 | 20万円以上50万円以下の範囲内の額 |
第33条(起訴後引き続き受任した場合等)
起訴前に受任した事件が起訴(求略式命令を除く。)され、引き続き起訴後の事件を受任するときは、第31条に定める着手金を受けることができる。ただし、事案簡明な事件については、起訴前の事件の着手金の2分の1とする。
2 刑事事件につき引き続き上訴事件を受任するときは、前2条の規定にかかわらず、着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
3 追加して受任する事件が同種であることにより、追加件数の割合に比して一件当たりの委任事務処理の量が軽減されるときは、追加受任する事件につき、着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
第34条(検察官の上訴取下げ等)
検察官の上訴の取下げ又は免訴、公訴棄却、刑の免除、破棄差戻もしくは破棄移送の言渡しがあったときの報酬金は、それまでに弁護人が費やした時間及び委任事務処理の量を考慮したうえ、第32条の規定を準用する。
第35条(保釈等)
保釈、勾留の執行停止、抗告、即時抗告、準抗告、特別抗告、勾留理由開示等の申立事件の着手金及び報酬金は、依頼者との協議により、被疑事件又は被告事件の着手金及び報酬金とは別に、相当な額を受けることができる。
第36条(告訴・告発等)
告訴、告発、検察審査の申立て、仮釈放、仮出獄、恩赦等の手続の着手金は、一件につき10万円以上とし、報酬金は、依頼者との協議により受けることができる。
第37条(少年事件の着手金及び報酬金)
少年事件(家庭裁判所送致前の少年被疑事件を含む。以下同じ。)の着手金は、20万円から50万円の範囲内の額とし、具体的な着手金の額は、非行事実についての争いの有無、少年の環境調整の手数の程度などの事情を考慮し、依頼者との協議により定めるものとする。
2 少年事件の報酬金は、20万円から50万円の範囲内の額とし、具体的な報酬金の額は、非行事実についての争いの有無、少年の環境調整の手数の程度、試験観察に付されたなどの各事情やその結果(非行事実なしに基づく審判不開始又は不処分、保護観察処分など)を考慮し、依頼者との協議により定めるものとする。
第6章 手数料
第38条(手数料)
手数料は、この報酬基準に特に定めのない限り、事件等の対象の経済的利益の額を基準として、次の各号のとおりとする。ただし、経済的利益の額の算定については、第14条ないし第16条の規定を準用する。
一 裁判上の手数料
ア 証拠保全手続の手数料は、原則として20万円に第5章第1節(民事事件等の着手金及び報酬金)により算定された経済的利益の額の10%を加算した額とする。ただし、特に複雑又は特殊な事情がある場合には弁護士と依頼者との協議により定める額とすることができ、また本案事件と併せて受任したときでも本案事件の着手金と別に受けることができるものとする。
イ 即決和解の手数料は、以下のとおりとする。ただしこれによる手数料を受けたときは、契約書その他の文書を作成しても、その手数料を別に請求することはできない。
(ア)示談交渉を要しない場合は、次の表のとおり
経済的な利益の額 | 弁護士報酬の額(手数料) |
300万円以下の場合 | 10万円 |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 1%+7万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 0.5%+22万円 |
3億円以上の場合 | 0.3%+82万円 |
(イ)示談交渉を要する場合は、示談交渉事件として第18条の例による。
ウ 公示催告の手数料は、上記イ(ア)と同様に算定する。
エ 倒産整理事件の債権届出の手数料は、原則として5万円から10万円の範囲内の額とする。ただし、特に複雑又は特殊な事情がある場合には弁護士と依頼者との協議により定める額とすることができる。
オ 簡易な家事審判(家事事件手続法別表第一に規定される家事審判事件で事案簡明なもの)の手数料は、5万円から20万円の範囲内の額とする。
二 裁判外の手数料
ア 法律関係調査(事実関係調査を含む)の手数料は、5万円から20万円の範囲内の額とする。ただし、特に複雑又は特殊な事情がある場合には、弁護士と依頼者との協議により定まる額とする。
イ 契約書類及びこれに準ずる書類作成の手数料は、次のとおりとする。ただし、特に複雑又は特殊な事情がある場合には、弁護士と依頼者との協議により定める額とし、また公正証書により作成する場合の手数料額は、下記の基準により算出した手数料額に3万円を加算した額とする。
(ア)定型的な書類作成
経済的利益の額 | 弁護士報酬の額(手数料) |
1000万円未満 | 5万円以上10万円以下 |
1000万円以上1億円未満 | 10万円以上30万円以下 |
1億円以上 | 30万円以上 |
(イ)非定型的な書類作成
経済的利益の額 | 弁護士報酬の額(手数料) |
300万円以下の場合 | 10万円 |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 1%+7万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 0.3%+28万円 |
3億円を超える場合 | 0.1%+88万円 |
ウ 内容証明郵便作成の手数料は次のとおりとする。ただし、特に複雑又は特殊な事情がある場合には、弁護士と依頼者との協議により定める額とする。
(ア)弁護士名の表示がない場合、1万円から3万円の範囲内の額
(イ)弁護士名の表示がある場合、3万円から5万円の範囲内の額
エ 遺言書作成の手数料は、次のとおりとする。ただし、特に複雑又は特殊な事情がある場合には、弁護士と依頼者との協議により定める額とし、また公正証書により作成する場合の手数料額は、下記の基準により算出した手数料額に3万円を加算した額とする。
(ア)定型的な遺言書作成 10万円から20万円の範囲内の額
(イ)非定型的な遺言書作成
経済的な利益の額 | 弁護士報酬の額(手数料) |
300万円以下の場合 | 20万円 |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 1%+17万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 0.3%+38万円 |
3億円を超える場合 | 0.1%+98万円 |
オ 遺言執行の手数料は、次のとおりとする。ただし、特に複雑又は特殊な事情がある場合には、弁護士と受遺者との協議により定める額とし、また遺言執行に裁判手続を要する場合には、弁護士は遺言執行手数料とは別に裁判手続に要する弁護士報酬を請求できる。
経済的な利益の額 | 弁護士報酬の額(手数料) |
300万円以下の場合 | 30万円 |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 2%+24万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 1%+54万円 |
3億円を超える場合 | 0.5%+204万円 |
カ 会社設立等(設立、増減資、合併、分割、組織変更、通常清算)に関する手数料は、原則として資本額若しくは総資産額のうち高い方の額又は増減資額(以下「基準額」という。)を基準として次のとおり定める。ただし最低額は10万円(合併又は分割、通常清算については100万円)とする。
基準額 | 弁護士報酬の額(手数料) |
1000万円以下の場合 | 4% |
1000万円を超え2000万円以下の場合 | 3%+10万円 |
2000万円を超え1億円以下の場合 | 2%+30万円 |
1億円を超え2億円以下の場合 | 1%+130万円 |
2億円を超え20億円以下の場合 | 0.5%+230万円 |
20億円を超える場合 | 0.3%+630万円 |
キ 会社設立以外の登記等の申請手続についての手数料は、原則として1件当たり5万円とする。
ク 登記簿謄抄本、戸籍謄抄本、住民票等の交付手続についての手数料は、1通につき1000円とする。
ケ 株主総会等の指導業務に関する弁護士報酬は、原則として30万円以上とする。ただし、総会等の準備も指導する場合には50万円以上とする。
コ 現物出資等証明(会社法第33条10項3号に基づく証明)の手数料は、原則として1件30万円とする。ただし、出資等にかかる不動産価格及び調査の難易、繁閑等を考慮して増額又は減額することができる。
サ 自動車損害賠償責任保険に基づく被害者による簡易な損害賠償請求の手数料は次のとおりとする。ただし、損害賠償請求権の存否に争いがある場合には、手数料を増額又は減額することができる。
(ア)給付金額が150万円以下の場合は、3万円
(イ)給付金額が150万円を超える場合は、給付金額の2%
任意後見又は財産管理、身上監護の弁護士報酬は次のとおりとする。
(ア) 任意後見契約又は財産管理、身上監護契約の締結に先立って、依頼者の事理弁識能力の有無、程度及び財産状況その他依頼者の財産管理又は身上監護にあたって把握すべき事情等を調査する場合の手数料は、上記ア(法律関係調査)に関する規定を準用する。
(イ) 任意後見契約、又は財産管理・身上監護契約締結の着手金は、20万円とする。
(ウ) 任意後見契約締結後その効力が生じるまでの間、依頼者の事理弁識能力を確認するなどのために訪問して面談する場合の手数料は、1回あたり5000円から3万円の範囲内の額とする。
(エ) 任意後見監督人選任申立ての着手金は、第5章第1節(民事事件等の着手金及び報酬金)の規定を準用する。
(オ) 任意後見契約、又は財産管理・身上監護契約に基づく委任事務処理を開始したときは、弁護士は月額で定める弁護士報酬を受けることができるものとし、その額は次表のとおりとする。ただし、不動産の処分等日常的若しくは継続的委任事務処理に該当しない事務処理を要した場合、又は委任事務処理のため裁判手続等を要した場合には、月額で定める弁護士報酬とは別に本規程の定めにより算定された弁護士報酬を受けることができる。
事務処理の内容 | 弁護士の報酬(手数料) |
依頼者が日常生活を営むのに必要な基本的な事務処理を行う場合 | 月額5000円から5万円の範囲内の額 |
前段の事務処理に加え、収益不動産の管理その他の継続的な事務処理を行う場合 | 月額3万円から5万円の範囲内の額 |
第7章 日当
第39条(日当)
日当は、次のとおりとする。
一 日帰りかつ移動時間が往復2時間を超える場合は、1万円
二 日帰りかつ移動時間が往復4時間を超える場合は、2万円
三 宿泊を伴う場合は、一泊当たり3万円
2 前項にかかわらず、弁護士は、依頼者と協議の上、前項の額を適正妥当な範囲内で増額又は減額することができる。
3 弁護士は、概算により、あらかじめ依頼者から日当を預かることができる。
第8章 実費
第40条(実費等の負担)
弁護士は、依頼者に対し、弁護士報酬とは別に、収入印紙代、郵便切手代、謄写代、交通費、通信費、宿泊料、保証金、保管金、供託金その他委任事務処理に要する実費等の負担を求めることができる。
2 弁護士は、あらかじめ依頼者から前項の実費等を預かることができる。
3 弁護士は、概算した実費等の金額を実費相当額と定めることができる。
4 前項の規定にかかわらず、実費等の金額が実費相当額を超えた場合には、弁護士は依頼者に対し、実費等の金額と実費相当額との差額の負担を求めることができる。
第9章 委任契約の清算
第41条(委任契約の中途終了)
委任契約に基づく事件等の処理が、解任、辞任又は委任事務の継続不能により、中途で終了したときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、委任事務処理の程度に応じ、受領済みの弁護士報酬の全部又は一部を返還し、又は弁護士報酬の全部又は一部を請求する。
2 前項において、委任契約の終了につき、弁護士のみに重大な責任があるときは、弁護士は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならない。ただし、弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、その全部又は一部を返還しないことができる。
3 第1項において、委任契約の終了につき、弁護士に責任がないにもかかわらず依頼者が弁護士の同意なく委任事務を終了させたとき、依頼者が故意又は重大な過失により委任事務処理を不能にしたときその他依頼者に重大な責任があるときは、弁護士は、弁護士報酬の全部を請求することができる。ただし、弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは、その全部について請求することはできない。
第42条(事件等処理の中止)
依頼者が着手金又は委任事務処理に要する実費等の支払いを遅滞したときは、弁護士は、事件等に着手せず又はその処理を中止することができる。
2 前項の場合には、弁護士は、依頼者にその旨を通知しなければならない。
第43条(弁護士報酬の相殺等)
依頼者が弁護士報酬又は立替実費等を支払わないときは、弁護士は依頼者に対する金銭債務と弁護士報酬を相殺し、又は事件等に関し保管中の書類その他の依頼者からの預託物を依頼者に引き渡さないでおくことができる。
2 前項の場合には、弁護士は、依頼者にその旨を通知しなければならない。